「ロングホーズ」という靴下をご存じでしょうか?
イギリスやイタリアではスーツを着る際、スネを見せるのはマナー違反として古くからハイソックスを履いて来ました。これがいわゆるロングホーズです。
日本では、一部の革靴好きやスーツをおしゃれに着こなす方が愛用されるとてもマイナーなカテゴリーです。
ロングホーズを開発したきっかけは、あるNISHIGUCHI KUTSUSHITAのファンからの一言からでした。
「西口靴下のロングホーズを履いてみたい」
その時は、NISHIGUCHI KUTSUSHITAのユーザーにスーツ向けのマイナーなロングホーズを作る理由が見つかりませんでした。
しかし、何点かサンプルを履いて気づいたことは、スーツ向けに作られているけれど、素材や厚みを変えることで、スーツスタイルだけではなく、カジュアルファッションに使えるのではないか?ということでした。
そもそも、女性はクルーソックス、ハイソックス、ニーハイソックス、サイハイソックス、レギンス、タイツと豊富なラインナップがあるのに対して、男性はクルーソックスの次はレギンスと一気に飛躍してしまいます。
また、冬場でもジーンズやワイドパンツを履く際は、ウールやコットンのクルーソックスなどを履くことが多く、もしカジュアル向けのハイソックスができれば、メンズファッションの文化が変わるんじゃないかな?と思いました。
そこで、試行錯誤を繰り返す中、たどり着いた素材がシルクコットンです。本来のロングホーズはコットンもしくはウールのものが多く、いかにもスーツ向けのデザインとなっています。シルクコットンを使用することで、スーツスタイルにも合う光沢がありながら、シルクの絶妙な柔らかさと温かみを感じることができます。
コットンをベースにすることで、履きやすく、シルクが入ることで、汗をかいても足が冷えずにしっとりとした心地よい肌触りに変わります。
何度も作り直した試作品を冬から春にかけて毎日履いたところ、ウールのように直接的な温かさというよりは、脚が冷えずにシルクの生地に包まれている特別な心地よさに感動しました。
そうは言っても、これほどニッチなカテゴリーが脚光を浴びるには大変な労力が必要です。
それでも、冬場に足が冷える男性の靴下ファッションを変えたいという気持ちが勝りました。そして、幸いにも私たちの取扱先の多くは“はくひとおもい”という私たちの価値観に共感してくださっており、お店を通じて「シルクコットンロングホーズ」を届けることで冬の靴下の常識を変えていけると確信しました。
イタリア、イギリスなど本場の国でもNISHIGUCHI KUTSUSHITAのロングホーズが当たり前のように販売されることは近い将来だと思っています。