2017年3月にブランドを立ち上げて、半年が経った時ふと気づいたことがありました。それは、私たちの代表品番として位置づけていた「リスペクトコットンリブソックス」が、かなり個性的であるということ。「リスペクトコットンリブソックス」は、ヴィンテージ感があり、経時変化を楽しめる靴下なのですが、ベーシックといえる靴下ではありませんでした。
例えるならば、勉強は苦手だけどスポーツ万能ですごい仲間思いな人物。
それに対して、シンプルに優等生のようなストレートなコットンの靴下を作りたい。
これが開発のきっかけでした。
どのようなコットンが最も上質でベーシックな靴下になるかと色んな糸を試したところ、ある糸と出会いました。
それは、エジプトのギザコットンと言う種類で、その中でも繊維の長さが平均38mm以上の綿を甘く撚りをかけた糸でした。
いくら柔らかくて繊維が長いコットンでも撚り(より)を強くかけると光沢はでるものの硬くなってしまいます。この糸はその繊維の長さを活かし、甘く撚っても糸としての強度が保つことができ、かつ繊維が長いことから甘撚り(あまより)でも光沢がでる美しい糸でした。
この美しい糸をどのように編み上げれば最高にベーシックな靴下になるか。
そこから長い検証の日々が始まりました。
ローゲージと言われる厚手の靴下の編み機で経験則に沿って作ったところで、なぜか糸の良さを最大限に引き出すことができませんでした。
そこで、試しに通常より糸を多く投入し、機械に頬張らせながら編んでみると、「エジプトコットンリブソックス」の独特なモチモチとした風合いが出るようになりました。
さらに、機械を頬張らせたことにより履き心地がルーズにならないよう伸縮糸のパワーを調整し、現在の「エジプトコットンリブソックス」が完成しました。
これは、私が靴下人生の中でもっとも糸の良さを引き出せた最高傑作だと思っています。
一見、厚みのあるように見える靴下ですが、履くとすっとなじんで驚くくらいモチモチとした風合い、そしてクッション性があります。
こうして、NISHIGUCHI KUTSUSHITAを代表する最高にベーシックでど真ん中な靴下が完成しました。
この靴下が、履くひとの暮らしをほんの少し心地よく、豊かなものになればと思っています。